業務用Baji's Bone
01/09/2008

大腿部の断面形状の意義

大腿部は大腿骨で形状が形成されているのではなく、基本的に骨盤外側前部、股関節内側前部、臀部下後部の3部位から膝へ伸びる筋で形成されています。

この理論から考えると技術的にウエイトマップを使用して基本形状を変えることなく大腿部を動かすことは不自然であると言えます。
結論的に人間は内骨格であり、マップで固めた外骨格の構造をしていないということです。


業務用Baji's Boneの基本的な

これまで1年余りの実証実験等で現在の設計に問題はないと判断し、これを元に完成度を向上させました。

すべてのモーションにおいてポリゴンラインを表示しております。
極端なポーズであってもポリゴンラインが破断しないことをご覧下さい。
なお、女性は標準体型。男性は骨太、筋肉量大の体型です。

9月1日に技術の変更に伴い下半身に関してのモーション動画をすべて更新しました

なお、いずれの画像も大きいのでロードに時間がかかります。

大胸筋及び三角筋のコントロールを適正化し、ポリゴンの破断を回避。
腕を上げた際の脇の下(大円筋)の隆起を表現。

男性女性ではポリゴン数はもとより形状も大きく違いますが、ご覧のようにほぼ等しい結果を出しており、汎用性も向上致しました。

肩甲骨、及びその周辺の筋肉の動きを適正化。
上腕を後ろ手に捻ると肩甲骨が隆起するなどリアルを追及。

もちろん、移動の大きさや力なども調整可能です。

腹直筋および肋骨のコントロールです。

腹部は4節3点でモーションを構成するようになっておりますが、これでは90度など大きな屈伸ではどうしても角ばってしまいます。
Baji's Boneでは内部的に2節2点を追加し、計6節5点の背骨で関節を表現しております。

整合性とゆるやかな変形などに配慮。
特に前屈時の内臓の保存などに格段の向上がありました。

なお、Tシャツなど着衣時には肋骨のシワが邪魔になりますが、これはコントロールすることが可能です。

大臀筋のコントロールです。

足を後方にそらした時は当然ですが、前屈時と同時に肛門付近の筋肉が巻き込むように左右に移動しているのが分かると思います。

これは人間が二足歩行するのに大変重要なファクターです。
また、股間下の隙間が前屈に合わせて広くなるのも銅個所の特徴のひとつです。

-- 以下、最新版に更新 --
前後及び左右のいわゆる180度開脚です。

あぐらやペッタンコ座り(とんび座り?)などもおこなっておりますが、いずれもご覧の通り、ポリゴンラインにおおきな乱れは発生しておりません。

男性版です。

女性版の標準体型にくらべ肉量が非常に多いのですが、同様の結果を出すことが出来ます。

以前のものとでは比較にならないほど汎用性が向上致しました。

 
 無修正       Joint_morph使用
女性型ポリゴンオブジェクトのひざ関節の変形です。

左が単に膝を+7から-160度に曲げただけのものです。
ポリゴンラインをご覧になって分かるとおり、ラインは非常に安定しております。

ポリゴンラインが崩れないということは、テクスチャや変異マップ(ノーマルマップ)で問題が発生しないというたげではなく、モーフィングも問題なく使用できることを意味します。

基本的にひざを大きく曲げて正座のようにすると大腿部とふくらはぎは肉がぶつかり左右にふくらみます。これをモーフィングで再現したのが右です。
なお、モーフは130度で0、-160度で90%に設定しました。

 
 無修正       Joint_morph使用
男性もしくは筋肉の多い型ポリゴンオブジェクトのひざ関節の変形です。
開脚時のパンツラインの変形例です。

サンプルですのでウエイトマップは使用していません。

開脚時のズボンの変形例です。

サンプルですのでウエイトマップは使用していません。


02/08/2008

リアルと使い勝手の共存に成功
人間の手足は直線的ではありません。しかし、曲げて作成していると作業が面倒ですし、直感的ではないためにほとんどの場合手足は直線で表現されております。

これはBaji's Bone の開発に際して当初から問題とされていたことです。
リアルを遵守するべきなのか、あるいは使いやすさ(標準)を基準とするべきなのか。
それは技術的にも内部に非常に多くのギミックボーンを配置しているBaji's Boneでは大変重要です。

肘関節を説明します。手首を回転させると前腕骨が回転しますが、それにより手の位置が動きます。

手首の位置が変わるということは結果的に肘の関節が曲がったということにもなります。
つまり腕は直線ではないということです。(■詳しい説明)

脚の説明は簡単です。両踵を揃えて直立した時、多くの人は両ひざもくっついています。(左下の脚)
もし直線であれば直立した際には両ひざがくっつくことは決してないはずです。(右下の脚)
つまり脚は直線ではありません。
※右の例では分かり易くするため脚を短く太くしました。

Baji's Boneではこれらの命題に対して柔軟に対応するよう内部ギミックを作成致しました。

MotionBuilderで発生する『捻れ』に対応
MotionBuilderで作業を行うと肘などではピッチの回転平面が大きく動くことがあります。これは他のHとB角によって修正されるので通常は問題はありません。

しかし、内部に多くのギミックボーンを持つBaji's Boneでは正常に作動しません。そのためMotionBuilderの出力データをピッチのみにすることで対応していました。

今回の修正で、これらの問題をギミックの内部処理で対応するように設計しました。

これにより、在来レイアウトの主ボーンによるMotionBuildeデータに、無修正で対応できるようになりました。

MotionBuilderで作業後のピッチ角のずれ       Baji's Bone内部の処理でピッチ角を修正

18/07/2008

Baji's Bone の開発にともない、アイディンティティを確立するためより高いクオリティを追求しております。

現在は様々なキャプチャーモーションにてその完成度を確認している最中です。
その中において気になった部分などの修正も行っております。

一応、今回の修正で問題点はすべて改善されたと思いますが、もう少し様々なモーションデータでの検証が必要だと考えております。

なお、いずれの画像も大きいのでロードに時間がかかります。

かねてより気になっていた首ですが、やはり激しいモーションなどでは破綻がみられたため、思いきって再設計をしました。

首は太さに比べ長さが短いのに非常に大きく曲がります。
これは人体関節再現にはかなりの難問でした。

試行錯誤を繰り返し、安定的に変形ができるギミックを考案致しました。

大腿部は+-90度も曲がります。
最大角のとき、ポリゴンラインが乱れるのが将来的に問題となる可能性がありましたので、この部分もギミックを追加し、解消しました。

ひざの上から骨盤へ走るライン、及び太もも内側のラインがどのような角度でもきれいになったことが見て取れると思います。

ポリゴンラインの保持例

大腿部は基本的に腰前部、股間内側、お尻の下、これら3箇所からひざに向けて走る3本のラインで形状を構成していると言っても過言ではありません。

左の図でも分かるとおり、大腿部の角度によってその長さは大きく異なります。
当然、これによって大腿部の断面も異なることが分かると思います。
同様に、捻る、といった行為でも常にその形状は異なるのです。

Baji's Boneではこれを再現。
左のCGの股間内側から伸びる白い線(長内転筋)の位置をご覧下さい。
大きく移動していることが分かると思います。

この技術無しでは大腿部の形状の再現は不可能でした。

07/05/2008

業務用Baji's Boneの特徴

業務用のBaji's Boneが完成致しました。

この汎用人体ボーンはMotionBuilderに対応しており、FK専用となります。特徴は以下の通りです。

業務用の特徴
●人間が可動可能な関節範囲をカバー
●すべての場合においてポリゴンラインレベルで関節の形状を再現
●整合性をもってゆるやかに変形
●ポリゴンラインが乱れないので、テクスチャだけでなくノーマルマップやモーフにも問題が発生しない
●汎用性が格段に向上

MotionBuilderの使用に際しての特徴
●レンダリング時にBaji's BoneをPluginでセットアップするだけでOK。作業手順の変更は必要ない。
●MotionBuilderのモーションデータを壊すことなくレイアウト上でモーションの変更可能。

Baji's Boneの特徴
●リアルタイムで作動。
●ウエイトマップを使用していない。(顔と指を除く)
●男女はもちろん、大人から子供、筋肉質や肥満体型などほぼすべての体型に簡単にセット可能。
●すべての体型に対して同じ構造のボーン、及びパラメータを使用しているので、作業が簡単。
●固体別にいつでもダミーモードにすることができ、軽く作動させることができる。

付記
一般用と比較し、ボーンは570本から920本へ、ゴールNullも52個から92個と大幅に複雑化。
そのため、事実上、8.5でのモーション作成は負荷の増大によりレスポンスが低下し、FKであっても現実的ではありません。(ダミーモードでは問題ありません)
ただし、Ver9以降では問題なく作業することができます。

なお、極端なポーズをとらなければ、一般用との差はそれほど感じないと思います。
また、IKでは作動しませんので、MotionBuilder無しでは事実上アニメーションに適していません。

MotionBuilderに準拠した主ボーン

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